近年はシェアハウスに住むという選択肢も一般化してきており、「1度はシェアハウスに住んでみたい」と思う方も増えてきています。若者を中心に人気が再熱しており、これからますますシェアハウスの需要が高まるのではないでしょうか。
しかし、シェアハウス生活を夢見る方はお分かりのとおり、シェアハウスは楽しそうなイメージがあるいっぽうで期待と同じくらいに、不安もよぎってしまいます。知らない人と暮らす以上、トラブルが起こる可能性は高くなりますし、トラブルを起こした相手とも毎日顔を合わせなければなりません。
トラブルにどう向き合うかがとっても大切だニャ。
シェアハウスへの入居を検討しているあなたの不安を少しでも解消できるよう、福岡で10年以上続くシェアハウス「またたび」を運営して分かったことを、実際のケースも踏まえてご紹介します。
これからシェアハウス生活を始める方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
シェアハウスでよく起きるトラブル3選
まずは、シェアハウスでよく起こるトラブルをご紹介します。シェアハウスの規模やタイプによって、どんなトラブルが起こるのかは異なりますが、ここで紹介する3つのトラブルは、どれだけ気を付けていても、たいていのシェアハウスで生じてしまいます。
〇シェアハウスで生じるトラブル3つ
1.人間関係上のトラブル
2.騒音トラブル
3.恋愛・男女間のトラブル
それぞれのトラブルについて、詳しい内容や原因、実際に起こったトラブルのケースをご紹介します。
人間関係上のトラブルとは?
シェアハウスで起こるトラブルのうちほとんど全てが「人間関係上のトラブル」と言ってしまっても過言ではありません。ただ、ここでは「すれ違いによって、わかりやすく喧嘩や不仲になる」トラブルを指しています。
長年シェアハウスを運営して分かったことは、人間関係のトラブルは以下の3つのタイミングで起こり、それぞれ理由やトラブルの内容が異なることです。
〇人間関係のトラブルが生じやすいタイミング
1.入居直後
2.入居後3~6ヶ月
3.退去直前
この3つのタイミングに焦点を当てて、それぞれのタイミングで生じるトラブルを紐解いていきましょう。
1.入居直後に生じる人間関係のトラブル
まず「1.入居直後」に生じる人間関係のトラブルですが、このパターンの多くは「お互いの不理解」が原因です。コミュニケーション不足というよりは、既存の住人さんと新住人さんがお互いに緊張して力を入れすぎてしまったり、新入居者さんが馴染もうと無理をして自分を偽ってしまったりすると、よく生じます。
「急にガツガツ聞かれても不安で答えられないよ…」って不満を抱いてしまうことがあるニャ!悪気はないんだけどニャ……。
新住人さんにとっては、引っ越しの疲れが残った状態ですし、不慣れな環境でスタートする生活についていくので精いっぱいになるタイミングです。そのうえ、初めてシェアハウスに住む方にとっては共同生活そのものが未知の体験であり、見知らぬ他人とひとつ屋根の下で暮らすストレスもかかります。
いっぽう、既存の住人さんは新しい仲間を歓迎したい気持ちが強いので「あなたはどんな人なの?」とたくさん聞いてしまいたくなるものです。しかし、新住人さんの疲れや緊張がほぐれてからでないと話せないこともありますから、お互いが仲良くなるペースを把握したうえで、ていねいにコミュニケーションを取ることが大切です。
2.入居後3~6ヶ月で生じる人間関係のトラブル
「2.入居後3~6ヶ月」で生じる人間関係のトラブルですが、このパターンの多くは「お互いの希望のすり合わせができていない」ことで生じます。相手の性格や趣味、嗜好が明らかになり、ある程度の人物像が出来上がってきたタイミングですから、「相手はこういう人間で、こういう風に思っているんだろう」という推測が立ちやすく、その推測の信頼性も高くなってきています。
そのため、相手に対して疑問が生じても、自分のなかの推測だけで答えを出してしまったり、ついつい「あなたもこれが好きでしょう?」と悪意なく自分の希望を押し付けたりしやすくなります。
「あの人はこういう人だから、こう思って発言したんだろう」って決めつけて、相手へ抱く印象を勝手に悪くしてしまうニャ。
「どうしてそんなことを言ったんだろう?」って考えたり、「まだ相手のことを知らないんだ」って自覚したりするのが大切ニャ~。
入居から3ヶ月も経てば、ある程度メンバーとも仲良くなって、シェアハウスにも慣れてくるタイミングです。それゆえに、相手をすべて理解したような気持ちになって、こうした不透明なままのコミュニケーションに甘んじるケースが少なくありません。
結果として、その小さな綻びが不和を呼び、日常の些細な出来事がきっかけで喧嘩に発展してしまうのです。
3.退去直前に生じる人間関係のトラブル
「3.退去直前」に生じる人間関係のトラブルは、どちらかというとこれまでの答え合わせのようなものが多いです。もともとあまり馴染めていなかったり、ひそかに溜まっていたストレスをぶつけあうかのように不仲になったりと、これまでの関係性の清算とも考えられるトラブルがよく起こります。
そもそもシェアハウスを離れる理由は人によって様々です。転勤や卒業、就職、結婚などのライフイベントを理由に退去する方や、シェアハウス内での不和や不仲が原因で退去する方もいます。
前者のようにポジティブな理由で退去する方のほうが多数派ですが、後者のようにネガティブな理由で退去する方も少数派ながらいらっしゃいます。こうした方は退去前にトラブルを起こしたり、トラブルを先に起こしてしまい、その居た堪れなさから退去を選んだりするケースが多いです。
どうしてもシェアハウスの雰囲気が合わニャかったり、仲良くなれなかったりすることってあるんだニャ。そういう人が退去前にトラブルを起こすことがたまにあるニャ。
このタイミングで生じるトラブルはこれまで紹介した「1.入居直後」や「2.入居後3~6ヶ月」で生じるトラブルとは少し毛色が異なり、トラブルを起こす方が強く誰かを嫌っていたり、もう仲直りをする気持ちが一切なかったりするケースが多いです。
そのため、シェアハウスを運営している私たちも、住んでくれている住人のみんなにとっても、一番避けたいトラブルでもあります。
騒音トラブルとは?
騒音トラブルは、「シェアハウスの中で生じるトラブル」と「シェアハウスの外で生じるトラブル」の2つに大別されます。それぞれどのような内容なのか、詳しく見ていきましょう。
1.シェアハウスの中で生じる騒音トラブル
シェアハウスの中で生じる騒音トラブルとは、住人さんと他の住人さんとの間で起こる騒音トラブルです。つまり、「〇〇さんの部屋が夜中までうるさい……」とか、「共用部が朝までうるさくて眠れない!」といった、ハウス内の騒音にハウス内の誰かが困っている状況を指します。
シェアハウスにはさまざまな人が住んでいるので、なかには生活リズムが全く違う方が住んでいることもあります。加えて、共用部での会話が盛り上がっているときは、気を付けていても声量が大きくなってしまうことも。
とはいえ、このタイプの騒音トラブルはトラブルのうちに入らない、というのが私たちの考え方。なぜなら、「うるさくて困っているんだよね」と相談すれば、たちまち解決してしまうトラブルだからです。
もし騒音がトラブルになるケースがあるとしたら、それは「うるさいよ」と注意できない状況に陥っている場合です。気軽に注意し合える関係性が構築されておらず、誰かが一方的に我慢したり、無自覚に我慢させたりしている状況は、シェアハウス生活の楽しさを損なう重大なトラブルと言えるでしょう。
騒音そのものは仕方ないとしても、それを注意し合える関係性はいつでも構築しておきたいものです。
2.シェアハウスの外で生じる騒音トラブル
シェアハウスの外で生じる騒音トラブルとは、シェアハウス内の声が家の外に響くことで生じるご近所とのトラブルです。民家が密集していたり、防音設備が整っていなかったりすると生じやすく、ご近所とのトラブルが起こると、地域内でのシェアハウスの肩身が一気に狭くなってしまいます。
もともとシェアハウスは若者がひとつの家に住むという珍しい住み方なので、近所の方々からは「普通の民家に若い人がたくさん住んでる!」と注目を浴びやすいのです。
その上で、好意的に挨拶をしたり、地域のイベントに参加したりしていれば自然と地域に溶け込んでいけるのですが、騒音などが近所の迷惑になってしまうと、風当たりが強くなってしまいます。シェアハウスの住人さんにとっても、ご近所とのトラブルはあまり気分が良いものではないでしょう。
多くのシェアハウスでは、こうしたトラブルを避けるために「ハウスルール」や「規則」といった形でシェアハウス内での決まりごとを作っています。このハウスルールをなるべく守って、シェアハウス内外の方も気持ちよく住めるような環境を整えていくことが大切です。
最近は「スマブラの敗者を煽ってはならない」という重大なルールが追加されたニャ。騒音も喧嘩も防止だニャ~。
恋愛・男女間のトラブルとは?
シェアハウスで起こるトラブルとしては、「恋愛・男女間のトラブル」が考えられます。そもそもシェアハウスという文化は、2012年に始まったテラスハウスがきっかけで一気に知名度をアップさせたこともあり、「恋愛が生まれやすい場所」としてもひろく認知されています。
実際にシェアハウスを長く運営していると、住人さん同士が付き合ったり、結婚したりするケースを間近でみることがよくあります。けれど、やはり恋愛はすべてが上手くいくものではありませんから、付き合ったあとに別れたり、片思いのままフラれたりすることも少なくありません。そうなると、その後のシェアハウス生活が一気に暗く重いものになってしまうでしょう。
ちなみに、またたびは8~9割くらいの方をお断りするくらいに、面談の基準がきびし~いんだニャ、ぶっちゃけ日本一きびしいニャ。
トラブルは予防するもの?楽しむもの?
ここからは、シェアハウスで起こるトラブルは「予防する」ものなのか、「楽しむ」ものなのかについて、いっしょに考えていきましょう。先にお話ししておくと、私たちはシェアハウスでトラブルが起こるのは当然だと考えています。
生きてきた環境も、今考えていることも、これから進みたい道も異なる人たちが暮らしていれば、いざこざやすれ違いはあって当然ですし、むしろ全くないほうがどこかイビツに感じます。
また、シェアハウスで起こるトラブルのほとんどは、人生で直面する対人トラブルとなんら変わりありません。日頃の対人トラブルにも活かせる心構えも紹介しているので、対人トラブルに困っている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
トラブルの原因に目を向けよう
まずは、トラブルを全部否定するのではなく、ちゃんと直視して「なぜこのトラブルが起こったのか」を冷静に考えていく姿勢が大切です。トラブルは怪奇現象ではないので、ちゃんと起こる理由や原因があります。
それらを把握しないと、トラブルの解決も、仲直りも、再発防止の対策も考えられません。「どちらが悪いか」の二元論では平行線のままになります。
シェアハウスにおいて、トラブルの解決や再発防止から最も遠い考え方は「トラブルを避けようとする」ことです。トラブルを避けるために自分を隠したり、コミュニケーションを断ったりすると、シェアハウスがストレスの溜まる場所に変わっていってしまいます。
自分の家が安らげない場所になると、人は強い不安や不信を感じ、別の場所で発散しようと考えます。せっかくシェアハウスに住んでいるのに、シェアハウスがストレスの溜まる場所になってしまったら、本末転倒です。
いざとなったら交友を切ってしまえるような、トラブルを避けられる環境・状態であればそのスタイルは成立しますが、シェアハウスで関わる相手は同居人ですから、交友を断つことはできません。
シェアハウスは対人トラブルからは逃げられませんが、本当は、逃げる必要はないのです。シェアハウスを通して対人トラブルと向き合うことで、自分や相手のことをより深く理解したり、トラブルの再発を防止したりする経験を積めば、世の中のあらゆる対人トラブルで困らなくなります。
トラブルの原因を考える際のコツは、「自分はこう思っていた」とか「自分はこうしたかった」という自分側の意見、願望だけでなく、「相手はどう思っていたんだろう」とか「相手はどうしたかったんだろう」という相手目線での疑問や質問を考えてみることです。
トラブルは「どちらか一方」だけでは成り立たない
私たちのシェアハウス「またたび」では、「トラブルが起こるのは(たいてい)どちらにも原因がある」という考え方をしています。そもそも私たちが対人トラブルで「原因」だと思っているそれは「きっかけ」である場合が多く、本当の原因は奥深くに眠っていることがよくあります。
シェアハウスでは、日頃からちゃんとコミュニケーションがとれていれば、そうそうトラブルには発展しません。つまりトラブルが起こったその時点で、すでにどちらかが、あるいは両方がコミュニケーションをサボっていた可能性が高いと言えるのです。
また、一見すると一方が悪いように思えるケースでも、「実はこういう意図があって〇〇という発言をしたんだ」というような「相手の意図」を把握すれば、一概にどちらかに非があるとは言えなくなります。
つまり、トラブルが起きたら「どっちが悪いか」「何が悪かったか」ではなくて、「なぜそうなったか」という根本の原因にお互いが着目して、感情を抜いて話し合うことが重要です。次第に「私のここが悪かったのか」とか「僕のここが良くなかったな」という点が見えてくるでしょう。
そういった意味でも、トラブルは「どちらか一方」だけでは成り立たないのです。お互いになにか原因を抱えていて、それが複雑に絡み合って、トラブルに発展します。その絡みついた原因をひとつずつ解きほぐしていく作業を経て自分や相手を深く知ったり、仲直りや再発の防止につながったりするのです。
あ、いまバカだって思ったニャ?
トラブルを通して結ばれる絆は一生ものになりやすい
トラブルの原因を解きほぐすなかで自分や相手をより深く理解できると説明しましたが、実はこの時間を経て仲直りした人たちは、シェアハウスを出たあとも良き友人であり続けるケースが多いです。理由は通じ合う深度が段違いに深くなるためです。
トラブルの原因を探っていくと、ときには知りたくない自分の考え方や行動規範、時にはトラウマのようなものに直面することがあります。なるべくなら目を背けて過ごしていたいそれらを自覚して、トラブルの相手に共有して、どうにか乗り越えていこうと考えたとき、人は初めて本当の意味で対人トラブルを克服します。
そしてトラブルの相手は、トラブルが起こったおかげで相手の深い心情を理解して、寄り添えるのです。もちろんそうなるケースばかりではありませんが、トラブルの後に紡がれた絆はやはり強く、いつまでも色褪せない友情をはぐくんでくれます。
そういった意味でも、トラブルを「避けよう」とするのではなく、トラブルが起こった後に「ちゃんと対処をしよう」と思えるようになると、トラブルが怖くなくなるだけでなく、一生の友人が手に入るかもしれません。
シェアハウスでトラブルが起こりやすい理由は「距離感」にある
ここからは、シェアハウスでトラブルが起こりやすい理由について、詳しく見ていきましょう。
シェアハウスでの人間関係は、仕事の同僚や友人よりも深く濃いものになります。過ごす時間も長くなりますし、同じ釜のご飯を食べて暮らすので、普段は話さないようなことも話す仲になるでしょう。
そのため、普段は隠している自分のことや、ふだん垣間見えることのない他者の考え方に触れる機会も多くなります。当然ながら、相手の考え方に同意できなかったり、大切な自分の考え方とそりが合わなかったりする可能性も高くなります。人間にとって、そうした環境はストレスになりやすいのです。
このストレスは、心理学ではヤマアラシのジレンマと呼ばれます。他者と近づきたいけれど、近づきすぎると針が刺さってしまう。その葛藤のなかで、お互いにとってちょうどいい距離感を見つけていくことが望ましいとされています。
そして、シェアハウスは他人と同じ家に住むことになるので、「通常に比べて近すぎる距離感」からスタートせざるを得ません。つまり、「距離感が近すぎるが故のストレス」がトラブルを引き起こします。
この距離感をどう捉えるかが肝心です。「近すぎるから離れよう」と思う方や、「針を刺してでも近づこう」とする方、「自分の針を出さないように気を付けよう」とする方など、住人さんの反応は十人十色です。
どの方法も間違いではなく、大切なのは「自分も相手も我慢せず過ごせる距離や接し方」を身に着けること。一朝一夕では身に付かない感覚ですが、シェアハウスにはその感覚を育む可能性がそこかしこに散らばっています。
トラブルを前向きに捉える家族型シェアハウス「またたび」
シェアハウスへの入居を考えている方にとって、「シェアハウスってトラブルとか多いのかな?」という疑問や不安はかなり大きいものです。とくに、集団生活に慣れていなかったり、初めてシェアハウスに触れる方にとっては「シェアハウスに入居する」という選択は勇気のいる決断でもあります。
この記事が、シェアハウス生活への疑問や不安を少しでも解消できていれば嬉しいです。もう一度、シェアハウスでのトラブルを捉えるときに大切な要素をおさらいしておきましょう。
〇シェアハウスで生じるトラブル3つ
1.人間関係上のトラブル
→「入居時」「入居後3~6ヶ月」「退去前」に起こりやすく、「回避しよう」とするのではなく「ちゃんと対処しよう」という意識が大切。コツは「相手目線で考える」こと。
2.騒音トラブル
→シェアハウスでは避けようがないが、ハウスルールが徹底されていたり、注意しあえる関係性を構築していたりすることが大切。
3.恋愛・男女間のトラブル
→恋愛が生まれやすいので、失恋をきっかけにトラブルに発展することも。気を付けなければならないのは、入居面談が甘い男女共住のシェアハウス。なるべく避けよう。
コミュニケーションが苦手な方も、初めてのシェアハウス生活に気構えてしまう方も、きっと楽しいシェアハウス生活が送れる素敵なおうちです。素の自分でありながら、本当の家族よりも深くかかわっていけるようなあたたかい居場所を作っているので、もし興味があればぜひ覗いていってくださいね。
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